
「彼がひとりで住むマンションに、私は毎日のように手料理を届けていました。でも彼はひとり住まいではなく、実は“単身赴任”だったのです。奥さんと子どもがいたことを黙っていたのでした──。」
優しい笑顔の裏に、まさかの二重生活。
これは、ある女性が“既婚者の彼”に騙されていた2年間の実話です。
出会いはSNS──“運命の人”だと思った

大阪府在住:N・Mさんの場合
SNSで出会った彼
彼と出会ったのは、職場の友人から教えてもらったSNSがきっかけでした。
何気ない私の投稿に彼がていねいなコメントをくれたことがきっかけで、毎日のようにメッセージをやり取りするようになりました。
彼は穏やかでユーモアがあり、趣味や好みなど、どんな話にも優しく共感してくれました。
「こんなに気が合う人がいるなんて」と、私は運命を感じていました。毎日文字だけのやり取りをしている中で、徐々に感情が高ぶっていくのを感じていました。

寂しい彼を支えたくて…
彼の実家は関東。もともと実家近くの会社に勤めていたけど、いまは期間限定の単身赴任中。兄弟はいないと言っていました。両親は共働きで、お互いが多忙を理由になかなか連絡をとらず、少しだけ疎遠になりつつあるとのことでした。
「実家に帰るのは正月だけ。友だちとも会っていないから一人暮らしで寂しい」
そう言われた私は、彼を支えたい気持ちでいっぱいでした。
彼は料理ができないわけではないのですが、ひとりで食べるのは寂しいだろうと思い、私は毎日仕事が終わったら食材を買って二人分の晩御飯を作り、せっせと彼のマンションに運んでいたのです。

“単身赴任先の部屋”での幸せな日々
初めて彼の部屋に行った日のこと、今でも鮮明に覚えています。小さな1LDKで、男性の一人暮らしにしては整っていました。
私は彼のために作った料理を盛り付け、帰るまでに洗濯や掃除までして、「いつかこの人と一緒に暮らすのかな」と夢を見ていました。
週末は彼の部屋で過ごし、彼の好みに合わせて料理を覚え、まるで“奥さんごっこ”のような時間。
「いま仕事でバタバタしてるけど、落ち着いたら正式につきあってほしい」と言われ、私の中ではすっかり恋人関係になっていたのです。

彼の“違和感”に気づいた瞬間
彼の家で過ごしているときに電話が鳴ると、彼は通話のたびに部屋の外へ出ていきます。最初は「仕事関係なのかな」と気にしませんでした。
ところが、ある日曜日のこと。いつも日曜日は仕事だと言っていた彼でしたが、この日は珍しく朝からレンタカーで少し遠くまでドライブデートをする日でした。彼はスマホのナビで目的地を設定し、スマホをダッシュボードのスマホ立てに置いていました。スマホ画面はコチラを向いていました。

ナビ画面だった彼のスマホに突然メッセージが届きました。そして一瞬でしたが子どもの写真が表示されました。画面には「パパがんばってね」のメッセージも。
その瞬間、頭が真っ白になりました。
彼は慌てて運転中にもかかわらずスマホを手に取り、「妹の子どもだよ」と笑いましたが、私はその笑顔が作り物だとすぐに分かりました。反応がとても怪しく、その後スマホをポケットにしまいました。さすがに「これはおかしい」と気づいたのです。兄弟はいないと言っていたのに妹? その日は怖くてこれ以上聞くことができませんでした。
真実の発覚──“単身赴任”ではなかった
その後、あの事がどうしても気になって、仕事が全然手につかない状態でした。彼と会っていてもずっと気になっていました。
後日、私は勇気を出してSNSで彼の名前を検索してみました。あの一件がどうしても頭から離れず、食事ものどを通らなくなっていたのです。
私は彼と出会って以来、ずっとSNSからは離れていたのです。彼が「ぼくはもうSNSから引退するよ。仕事も忙しいから」と聞いていたので、なんとなく「じゃ、私もやめるよ」と言いました。そのとき彼はすごくうれしそうにしてくれたのです。いま考えれば、彼の隠していた真実を知られたくなかったから、私にSNSをやめるように誘導したのかもしれません。

別アカウントは意外にもすぐに見つかりました。私がSNSを止めると言っていたから、彼は油断していたのだと思います。彼はとても幸せそうな表情で、家族と一緒の写真を上げていました。
私は彼を問い詰めました。
「ごめん、言おう言おうと思いつつ、言えなかった。でも君への思いは本気なんだ」
「少し時間をくれ。いまの妻とは別れるから」
「君のほうを愛している。妻には恋愛感情はない」
そんな言葉を聞いて、私は涙も出ませんでした。“本気”という言葉ほど、空虚に響くものはないと知りました。
別れと再出発──私が学んだこと
その後、彼とは完全に連絡を絶ちました。失恋のつらさよりも、「自分が騙されていた」という事実の方がつらくて、悔しかったのです。
あとから彼に聞いた話ですが、あの日曜日の昼間のドライブデートは、いつも夜しか会えないからたまには昼間に会えるように私に気を使ったらしいのです。そしてあの日、あの子どもの写真付きメッセージを送ったのは彼の奥さんだったらしいです。彼の行動をみて、奥さんが怪しいと思っていたそうです。そう聞くと、なおさら騙されていた私がみじめに思えてきました。
あの頃の私は、信じたいという気持ちが、現実を見る目を曇らせていたのだと思います。

違和感の「サイン」
今振り返ると、違和感のサインはいくつもありました。
☑️夜に電話するのを避けられていた → 仕事の連絡が多いからと言われていた
☑️土日は連絡が取れない → 土日も仕事があると言われていた
☑️写真を撮らせてくれない → 写真は嫌いだと言っていた
☑️「今は結婚に興味がない」と話す → 仕事が忙しいから時期を見て落ち着いたら考えたいと言っていた
あの時、それを“仕事に熱心で、優しい彼の事情”だと思い込んでいた自分。それを裏切り続けていた彼。しばらくは何も考えたくないほど落ち込みました。
同じような女性へ伝えたいこと
もしいま知り合いに、「優しいけど、どこか秘密が多い彼」と付き合っている女性がいたら、一度、冷静に彼の生活を見つめ直してくださいと伝えたいです。
恋愛の始まりが甘いほど、嘘は巧妙です。本当に大切にされる恋は、隠す必要がないものです。私のように誰かの“影”になる恋ではなく、堂々と愛される恋を選んでほしいです。
まとめ|“信じたい”気持ちが、最大の落とし穴

「彼は優しかった」「本気だったと思う」──その気持ちは嘘ではないと思います。
でも、優しさと誠実さは別物です。
恋愛は信頼で成り立ちますが、盲信では幸せになれません。
今はもう、誰かに嘘をつかれる恋ではなく、自分を大切にしてくれる人を見抜ける自信がつきました。
他人には秘密が必ずあります。家族でも秘密はあります。でも、同じ秘密でも、恋愛が絡んだときは「あれ? これおかしくない?」「なんかコソコソしてない?」と思ったら怖がらずにハッキリさせるべきです。
ここで女性がよく思うのは、「ちょっとしたことでもなにかもめごとの火種になって、この恋が壊れるようなことがあったら怖いのでガマンしよう」です。「私さえガマンすれば幸せな日々が続くから」「もし疑ったりして嫌いになられたら困る」と思いがちです。
でも、「成立する恋愛」「将来性のある恋愛」って、そんな些細なことでは揺らがないのです。なにも怪しくなければ彼は逆ギレしません。疑わせるような行動をした彼が悪いのです。自分の中に「?」を抱えたままでは幸せな恋愛は続けられません。少々のリスクを負う覚悟でハッキリさせましょう。モヤモヤしたままでは幸せはつかめません。

彼と別れてからしばらくは「もう恋愛はあきらめようかな」と落ち込んでいましたが、いろんな人に相談にのってもらったり話を聞いてもらったりしているうちに、かなり立ち直りました。いまは「絶対に前よりイイ男を捕まえてやる!」と切り替えました。あの事件以来、女として、一段階成長したような気分です。
⚠️(本人には掲載許可を得ています)